アキチ アーキテクツ
Akiti architects
空の家 Garden Hotel
所在地:長野県小諸市
用途:ホテル(一棟貸し、定員6名)
構造:木造
階数:地上1階
敷地面積:480.45㎡(宅地部分)
建築面積:163.96㎡
延床面積:133.56㎡
竣工:2025年4月
撮影:特記なきは大倉英揮 Ookura Hideki






























敷地は長野県小諸市、軽井沢と上田を結ぶ浅間サンライン沿いの小さな集落に位置する 。 なだらかな丘の中腹 、背後に浅間山連峰 、前方には中央アルプスや蓼科山 、八ヶ岳連峰が 連なる絶好の展望地である 。
建物は地元の建築家が設計した平家の住宅 。1000坪の広大な敷地に色とりどりの花々が植 えられ、白い建物が浮かんでいた 。
高原地帯である集落の天気は 、1日を通して変化する山の天気に近い 。朝、霧に包まれたか と思うと太陽が顔を出し 、また霧が現れ 、いつのまにか晴天へと変わる 。白い外観は霧と 一体となり、太陽の下ではくっきりと形あるものに 、一日が終わる頃には夕日に照らされ ピンク色に染まる 。
別荘兼一棟貸しの宿を考えていたオーナー夫妻は 、景色と一体となった この場所に惚れ込 み、前オーナーが育てた庭を引き継ぎたいと思った 。愛犬家である彼らの希望により 、犬 も一緒に過ごすことができる計画とした 。
建物は傾斜する丘に対し東西に細長く 、切妻屋根の下に天井の高いワンルーム空間と駐車 場といったシンプルな形状だった 。住宅にしては大きな気積をそのまま活かし 、そこに取り 付くアルコーブのような形で宿に必要な厨房や寝室・水回りをまとめ 、大小の空間を明確 にした。
既存の開口は景色に対して積極的ではなかったが 、配置は友好的であった 。 大小の空間はトンネルの内外で感じられる 、闇の向こうの美しい色彩や、闇から出た先に 広がる雄大なパノラマのような景色の強弱を感じられる空間にしようと思った 。
色彩は建物の外にある自然の色で十分である 。大きな空間の壁は白く塗り 、天井や梁は黒 く塗り込め奥行きを感じられるように 。塞がれていた既存の窓や南東角の壁を大きな窓に 変更し視界を広げた。窓の足元は床からの立ち上がりを残した 。圧倒的な自然を前に内と 外を地続きにしない気の溜まりに安心感を覚えたからである 。小さな空間は明度を下げ、 各所の寸法も抑えた 。
大小の対比 、明暗の出現といったシンプルな操作ではあるが 、空間は一気に外へと導かれ 、 丘へ、山へ、空へとつながった。そこに立つと風景の断片が頭の中で組み立てられ自らも 自然と一体となったような気になる 。
料理家でもあるオーナーは 、集落で育てられた野菜やそばを料理として提供したり 、近くの 空き家を管理用の事務所とするなど 、地域住民のと交流を深めている 。都会から訪れたゲス トたちは、日常から離れ、自然に身を委ねる時を満喫することができる 。 この宿ができたことで小さな集落が華やいできた 。