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​自由な家

小さい豊かな住まい

 

阿部勤さんとの共同設計であり、阿部さんが手がけた最後の家となった。限られた大きさを超える、意志や思想を幾重にも重ね、密度高く設計に反映させることを目指した。

駐車場2台分の敷地に建つ、ひとりの男性のための家。シェアスペースとして家の一部を他者に明け渡すことで、いろいろな人間関係が流入する。ひとり暮らしのための器は、今後彼を取り巻くであろう多様な社会を内包したものとなり、未知の可能性を秘めた場所となる。

内のような外、外のような内を重ねて小さな家を大きく住む。インテリアをコンパクトにして、アウトドアを大きくつくる。それは屋上まで続く階段やテラスとなり、生活を拡張する奥行きをつくり、単純な田の字型の平面がこの豊かな半屋外空間を介して立体的に、さまざま組み合わさることを可能にした。

躯体のヴォリュームは、法的な範囲で最大限確保した。建設費の高騰は厳しかったが、ガストン・バシュラールの著書「空間の詩学」を指標として、地下室と屋根裏をつくることができた。鉛直軸はこの建築を統合する強固な力であり、縦方向の重なりを示唆する外壁の開口部が、都市的な住まいの顔を街に示している。

「自由な家」という家の名前は建主が決めた。自分らしさを追求する自由、暮らし方の自由、自然環境と繋がる自由。家は人生を拘束するものではない。さまざまな変化に対応できる設えをもち、自分なりのコニュニティや望むべく最期を育む場所となり、押し付けられた個性から解放される。「私」ではなく、「私たち」の家と建主が呼ぶこの家は、とても寛容で、大らかである。

撮影:特記なきは関拓弥 Takuya Seki

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